こんにちは。
トレーナーの加藤です。
食物繊維にお腹の調子を整える効果など、健康に良い効果があることは皆さんご存じですよね。
ですが、食物繊維は摂りすぎてしまうと身体への悪影響が生じる場合もあります。
この記事では、食物繊維の摂り過ぎによって起こる体への影響や、2種類ある食物繊維の特徴について解説していきます。
食物繊維とは
食物繊維とは食べ物に含まれている成分のうちヒトが持つ消化酵素で分解できない成分のことをいいます。
水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があり、これらをまとめて食物繊維と呼びます。
不溶性食物繊維には、便の量を増やすことで大腸の粘膜を刺激して排便を促す作用があり
水溶性食物繊維は食後の血糖値の上昇を抑えたり、脂質やナトリウム(塩分)の排泄を促したりします。
「食物繊維といえば便秘改善」
そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
食物繊維の働きはそれだけではありません。
便秘改善はもちろんですが、心筋梗塞のリスク低下や血中コレステロール値の低下など生活習慣病の予防効果を持っています。
食物繊維は整腸作用など身体のなかで有用な働きをすることから
5大栄養素『炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル』に次ぐ「第6の栄養素」とも言われています。
食物繊維の種類について
食物繊維は、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」の2種類に分かれます。
それぞれ異なる特徴と働きがあり、ひとつの食品のなかに不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のどちらも含まれているものがほとんどです。
不溶性食物繊維
野菜などに含まれ、糸状のもの、多孔質のものがあり、ボソボソ、ザラザラとした食感が特徴です。
◆不溶性食物繊維を多く含む食品◆
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穀類
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野菜
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豆類
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キノコ類
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果実
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海藻
◆特性◆
保水性が高く、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。
また、よく噛んで食べなければいけないので、食べすぎを防ぐ
大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。
水溶性食物繊維
海藻などに含まれ、ネバネバ系とサラサラ系の食感が特徴です。
◆水溶性食物繊維を多く含む食品◆
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わかめ
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昆布
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こんにゃく
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果物
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里いも
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大麦
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◆特性◆
胃腸内でゆっくり移動し、空腹感が出にくく食べ過ぎ防止に役立つ。
糖質の吸収を緩やかにし、食後血糖値の急上昇を防ぐ。
食物繊維を摂り過ぎるとどうなるのか
現代の日本人の食生活では、食物繊維をとりすぎるということはほとんどありません。
しかし、サプリメントなどを多量に摂取したり、極端に食物繊維が含まれている食品を摂取してしまうと過剰摂取に繋がってしまいます。
食物繊維の摂り過ぎによって何が起こるのかについて詳しく見ていきましょう。
・下痢を起こしやすくなる
水溶性食物繊維は体内で水に溶けてゲル状になり、便をやわらかくしてくれます。
適度な量であれば排泄しやすくなるというメリットがあるのですが、摂り過ぎると水分量が過剰になって下痢を起こしやすくなるのです。
・便秘を悪化させる
不溶性食物繊維には、便のかさを増し、腸を刺激することで排便を促進する効果があります。
もともと便秘状態で腸の動きが低下している人が不溶性食物繊維をとりすぎてしまうと
大きくかさが増した便をうまく排出できず、便秘がひどくなってしまうことがあります。
便秘の症状がある方は不溶性食物繊維をとりすぎていないか一度チェックしてみましょう。
・栄養素が吸収されにくくなる
摂り過ぎるとビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も抑えてしまうこともあります。
海藻類に含まれるアルギン酸など粘度の高いものはその傾向が強いという研究もされています。
特定の食べ物から食物繊維を摂取するのではなく、さまざまな食品を取り入れることが大事です。
食物繊維の1日の摂取基準
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると
食物繊維の1日あたりの目標摂取量は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上です。
ただし本来であれば成人は1日に24g以上の食物繊維を摂ることが理想的だとされています。
食物繊維はおもに、穀類・豆類・野菜類・果実類・きのこ類・海藻類などの食品に多く含まれています。
それらの食品を毎日の献立のなかにうまく取り入れると、無理なく食物繊維をとることができます。